Takeru Murasaki's
〓〓mixed bag〓〓 ◆ 第一回◆ 2004.3.3.

   Word is the seed for your imagination.    This imagination takes you towards another world.

 これは、私が自分のホームページに掲げている言葉です。小説を書くときに意識し ていることと言ってもいいかもしれません。別世界というものの、あなたが今いるこ の時空と薄い壁一枚で隔てられているだけの世界。隣り合わせの、近くて深い世界。 願わくば、小説の中に繰り広げられている「言葉」たちが、あなたの想像力を刺激 し、あなたを別世界へ導かんことを、と思って書いていたりします。  チャットで小説講座でもというお話しがありましたが、時間的に確約もできないの とMLでの展開と言うことでみなさまのお許しもいただきましたので、(一応)「言葉 とコミュニケーションについて」ということで、私、村崎武龍が不定期連載させてい ただきます。気長にお付き合いいただければ幸甚でございます。  質問は随時どうぞ。補足説明、歓迎!  本シリーズ・タイトル「mixed bag」((人や物事の)ごたまぜ)の通り、あっち こっち寄り道しながらの展開になるかと思います(笑)。全体の構成とか考えて、 ちゃんと準備してから始めようかとも思いましたが、そんなことしてると何時になる か分からないので、まずは始めてしまおうということで「第一回」を配信させていた だきます。 ■心のための利己的な遺伝子■  私たちの心、生活、文化は、DNA以外のあるものが進化することで影響を受けてま す。数千年前までは、DNAはこの宇宙で情報を蓄積し複製するための最高の方法で あった。だから、DNAに言及することなく、進化を語ることはできません。進化は情 報の複製に関係して起こります。そして地球上のほとんどすべての情報は、DNAに蓄 えられてきました。しかし今日、私たちには情報を蓄えるもう一つの媒体がありま す。その媒体は、DNAよりもはるかに速く複製し、変異し、伝達して行きます。そう して効率の良い進化をするために、新しいレプリケーター(環境にしがみついて自己 複製するのが得意なもの)が作られ、試験され、いっせいに広まってゆくといったこ とが、ほんの数日あるいは数時間で進んでしまう。DNAの場合はそれが数千年もかか るということと比較してください!  この新しい媒体は、私たちの日々の暮らしに対してDNAよりもずっと大切なものな ので、それに比べれば遺伝子進化は存在しないに等しいといえます。この新しい円熟 した多産の進化の媒体の名前はなんでしょう? それは「」と呼ばれます。  私たちの脳が進化し、アイデアを受け取り、蓄え、修正し、交換することができる ほどになると、進化に必要な二つの特徴を備えた新しい環境がにわかに出現します。 その二つとは複製と改革です。  以前このMLで情報の遺伝子の話をしました。情報の遺伝子は進化します。進化は、 私たちの心が、考えや行動、旋律、形状、構造などの複製と改革にすぐれているため に起きます。  私たちは、遺伝子レベルで進化し、心を持つまでに至りました。これは、心を作り 出す利己的な遺伝子、あるいは、心の一歩手前の何らかのものを作り出す利己的遺伝 子によるものです。  そうして生まれた心が、その利己的な遺伝子を持った人間に、生き抜く上での有利 な状況を作り出している。その有利な状況の下で、私たちは生存し、子供を作り、心 のための利己的な遺伝子を複製してゆくのです。  DNAの側から見れば、私たちはただ一つの理由によりここに存在しています。生き 延びて子孫を残すためでです。けれども、この目的を達するためのDNAのやり方は、 20年かそこらかかってやっと1ステップを進む程度の非常に遅い遺伝子進化によるも のです。これに比べて、一つの考えが文章を読むくらいの時間内に変異してしまうよ うな心のための利己的な遺伝子の進化は猛烈に速いといえます。  例えば、石けんの話。世の中で「手肌をいたわる○○○」みたいな宣伝が流れ、何も 知らなければ「あっ、良さそう!」と思ってその合成洗剤を使います。宣伝を知る前 は、その商品を買おうなどとは思っていなかった人が、知った後では購入していたり します。そして、その後新たな情報が入ってこなければそれを使い続けていることで しょう。しかし、実は合成洗剤は良くない、石けんがいい、という情報がインプット されると、それまで持っていた認識・価値観は書き換えら得ます。自らその書き換え られた情報に従って行動を始めるだけでなく、その情報を人にも伝えようとします。 知らぬうちに情報の複製を行っている自分がいたりします。  心のための利己的な遺伝子の複製機構は文化という「生物」ですが、言語の出現に よって高度なコミュニケーションがとれるようになり、 さらに心のための利己的な 遺伝子の複製、拡散に絶好の環境が整えたのです。すなわち、遺伝子が地球という環 境で生物を通じて進化して きたように、心のための利己的な遺伝子も心という環境 で文化という生物を通じて進化してきたのです。そして、今「インターネット」に よって情報はより大量に、より高速に流通するようになり複製も容易になってきました。  さて、この「心のための利己的な遺伝子」とは一体何者なのでしょうか?                                 続きは次回
  To be continue